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クレモト小児歯科

第10回 交野市健康歯科セミナーのご案内「歯は再生できるか?」

どうも院長です。

交野市歯科医師会では、市民の皆さまに歯と口の健康を身近に感じていただくため、毎年「交野市健康歯科セミナー」を開催しています。10回目となる今年は、2026年11月8日(日)12時30分から、交野市保健福祉総合センター(ゆうゆうセンター)で開かれます。

今回のテーマは「歯は再生できるか?〜歯生え薬の科学と、その先の未来〜」。講師には、いわゆる「歯生え薬」の研究開発を長年続けてこられた北野病院の高橋克先生をお招きします。参加は無料・予約不要です。

この記事では、当日のお話をより楽しんでいただけるよう、歯生え薬について公表されている情報と、高橋先生のご経歴を簡単にご紹介します。

「歯生え薬」とはどんな薬?

歯生え薬(開発コード:TRG035)は、歯の発生にブレーキをかけているタンパク質「USAG-1」の働きを抑える抗体医薬です。高橋先生らの研究グループによると、このブレーキを外すことで眠っている歯の芽(歯胚)を育て、歯の形成を促せるそうです。

人のあごの中には、乳歯・永久歯に続く「第3の歯」の芽の名残(歯堤の痕跡)が残っていることが知られています。ふだんは育たずに消えていくこの芽を、薬で育てようというのが歯生え薬の発想です。

研究グループが公表している主な歩みは次のとおりです。

  • 2007年:USAG-1の遺伝子を持たないマウスに、余分な歯(過剰歯)ができることを発見
  • 2021年:先天性無歯症のモデルマウスに抗USAG-1抗体を1回投与すると、歯の形成が回復したと報告(米科学誌 Science Advances)
  • 2021年12月:マウスとビーグル犬で、1回の投与で欠けた歯が回復したことを確認し、人向けの候補薬TRG035を決定

細胞を培養して移植する再生医療とは違い、薬の投与だけで歯を育てようとする点が大きな特徴です。

最初の対象は「生まれつき歯が多く足りない子ども」

歯生え薬が最初に対象とするのは、永久歯が生まれつき6本以上欠如する「重症型先天性部分無歯症」のお子さんです。頻度は約0.1%(1,000人に1人程度)と少なく、2025年9月には国の希少疾病用医薬品に指定されました。

1〜5本程度の永久歯の欠如は決して珍しくなく、小児歯科ではレントゲン検査で見つかることがよくあります。一方、本数が多い重症のお子さんでは、噛む・話すといった機能やあごの成長にも影響が出ます。インプラントはあごの成長が終わるまで使えないため、現状では成長に合わせて入れ歯を作り直していくのが一般的です。

開発の進み具合(2026年11月時点の公表情報)

【第I相】2024年10月〜
京都大学医学部附属病院で、奥歯が1本以上欠けた健康な成人男性30人を対象に安全性を確認。完了し、安全性が確認されたと発表されています。

【第IIa相】2026年8月〜
小児の重症型先天性部分無歯症の患者24人を対象とする多施設共同試験。8月17日にPMDAの調査が完了し、各施設の審査を経て投与を開始する予定です。

【実用化】2030年ごろ(目標)
開発チームが掲げる目標時期です。

第IIa相は、薬で実際に歯が生えるかを初めて患者さんで確かめる試験です。現時点で、人で歯が生えることはまだ確認されていません。むし歯や歯周病で歯を失った方への応用は、さらに先の目標と位置づけられています。

こんなお子さんは、かかりつけの歯科医院にご相談ください

  • 乳歯が抜けたのに、永久歯がなかなか生えてこない
  • 15歳になっても乳歯が残っている
  • 歯の数が多く足りないと言われたことがある

永久歯の欠如は、レントゲンを撮らないとわからないことがほとんどです。気になる方は、まずお子さんの歯の状態を確認してみましょう。

講師:高橋 克 先生

高橋克先生は、公益財団法人田附興風会 医学研究所北野病院 歯科口腔外科の主任部長です。歯生え薬の研究に最初期から取り組んでこられた、歯科医師・博士(医学)です。

  • 京都大学大学院医学研究科(口腔外科学分野)の准教授時代から、歯の数を制御する研究を続けてこられた
  • 研究成果をもとに、2020年5月に京都大学発スタートアップ「トレジェムバイオファーマ株式会社」を共同創業(現在は最高技術顧問)
  • 2024年からの第I相治験では、北野病院の主任研究者を務められた

基礎研究から薬づくり、治験まで一貫して携わってこられた、この分野の第一人者です。報道では、子どもは歯がないとあごの発達にも影響するため、その悩みに応えたいと話されています。

開催概要

【名称】
第10回 交野市健康歯科セミナー(第35回 交野市健康福祉フェスティバル内イベント)

【演題】
歯は再生できるか?〜歯生え薬の科学と、その先の未来〜

【講師】
高橋 克 先生(医学研究所北野病院 歯科口腔外科 主任部長)

【日時】
2026年11月8日(日)12時30分〜14時
※12時から「8020運動の表彰式」

【会場】
交野市保健福祉総合センター(ゆうゆうセンター)4階 交流ホール

【参加】
無料・事前予約不要
※ご来場の方に「歯の健康グッズ」をプレゼント

【主催】
一般社団法人交野市歯科医師会/交野市健康福祉フェスティバル実行委員会

【お問い合わせ】
072-895-2558(平日10時〜15時)
katanoda.seminar@gmail.com

交野市歯科医師会の取り組み

交野市歯科医師会は、交野市内の歯科医院が集まり、市民の皆さまの歯と口の健康づくりに取り組んでいる団体です。この「交野市健康歯科セミナー」も毎年開催しており、今年で10回目を迎えました。

セミナーは「交野市健康福祉フェスティバル」の催しのひとつとして行われます。フェスティバル会場では、歯科医師会もブースを出しています。

  • お子さんが遊びながら歯について学べる体験コーナー
  • 歯科医師による歯の健康相談

セミナーとあわせて、ご家族でお気軽にお立ち寄りください。

院長より

当院も交野市歯科医師会の一員として、このセミナーの運営に携わっています。

生まれつき歯が足りないお子さんの治療は、これまで「成長を待ち、入れ歯でつなぐ」のが中心でした。歯生え薬はその前提を変えるかもしれない研究ですが、まだ患者さんで効果を確かめている段階です。

研究の第一人者から直接お話を聞ける貴重な機会です。お子さんの歯の生え方が気になる保護者の方、歯を失って入れ歯やインプラントを考えている方も、ぜひ足をお運びください。

それではまた!


執筆者

クレモト小児歯科院長(呉本勝章)

  • 歯科医師
  • 日本小児歯科学会 小児歯科専門医
  • 日本スポーツ歯科医学会 認定医
  • 大阪大学大学院歯学研究科 小児歯科学教室 臨床講師
  • 医療法人ことしろ会 理事長

専門分野:小児歯科、スポーツ歯科

臨床・研究・教育、複数の視点から子どもの口腔と成長に関わる情報を発信しています。

プロフィール詳細:https://www.kotoshirokai.or.jp/kuremoto_pediatric_dentistry/staff

出典